『 子どもは何故ぐずる? 』

台風14号が日本を縦断して、ようやく秋の気配が色濃くなってきた今日この頃です。いかがお過ごしでしょうか。

朝門の前にいると、毎日ちょっとした親子劇場が見られます。歩いて登園の親子もいますが、たいていは自転車です。自転車が着くとノリノリで降りてくる子がいれば、グズグズで降車拒否する子もいます。ただしお父さんが送りだと、あまりぐずる光景は見られません。ところがお母さんとなると、様々な人間模様が繰り広げられます。ごきげんな日は笑顔であいさつもしてくれますが、そうでない日は大変です。シートにしがみついて「行きたないっ!」とぐずる我が子を、必死になってなだめたり、おこったり、時には交換条件を出し、最後は実力行使で、泣き叫ぶ子どもをだっこして門をくぐっていきます。おそらくお母さんは「もおっ!」と思ったり「いい加減にしてっ!」と心の中で叫びながら、手を焼くわけです。さらにこんな事が、忙しい日に限って起こるのです。

全ての行動には必ず理由や原因があります。だから子どもがぐずるには、ぐずるだけの理由があるはずです。ただ子ども自身は、おそらくそれを意識していません。子どもが成長するには、大人(親)を頼らなければ生きていけません。見放されてしまってはおしまいです。だから子どもはそうならないため、親に気に入られるように振る舞います。ところが親の手をわずらわせるぐずりは、それとは正反対の行動でしょう。人間は自らの命を守るため、本能的に危機回避行動をとります。だから本来なら、ぐずったりしないはずです。すると子どもにとってのぐずりは、危機回避の不要な行動という事になります。ぐずっても問題はないし、親は許容してくれるという判断が、どこかで働いているのです。

ではその判断は、一体どこから生まれてくるのでしょうか。それは親子関係だと思います。つまり親子関係(信頼関係)の安定があるからこそ、何をしても許されるという、子どもの本能的判断につながるのです。だから、安心してぐずれるのです。もし親子関係に不安をかかえていたら、おそらくぐずらないでしょう(赤ちゃんであるとか病気というような、生理的身体的理由の場合は又別です)。

ところでぐずるに似た行動に、わがままがあります。何か違いはあるのでしょうか。ぐずりはより感覚的な行動で、安定した親子関係を背景に、自分の思いを訴える行動です。一方わがままは、親子関係に不安をかかえているが故に、無意識に自分と親との関係を、模索する行動と言えるでしょう。どちらかと言うと、ぐずるのは乳児や年少の子どもたちに多く見られます。一方わがままは、もう少し年長の子どもに多いように思います。しかし、常にそうとは言い切れません。ではぐずりとわがままを、どうやって見分ければよいのでしょうか。残念ながら明確な見分け方はありません。ひとえに親のとらえ方次第なのです。そして本当にその違いを知るのは、子どもだけです。

子どものぐずりを問題行動と考えないでください。ぐずる裏には、それなりに安定した親子関係があるからです。ただしぐずる理由や原因は様々です。親はそれを考える事によって、ぐずりかわがままかを、見分けられるのかもしれません。

子育てが大変なのはよく分かります。しかしぐずる期間なんて、考えればそんな長い間ではありません。そのうちきっと懐かしい想い出にもなるのです。

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