新学期です。新たな1年が始まりました。新入園・新入学の子どもたちはもちろんの事、それ以上にお母さんお父さん方が、ドキドキハラハラの毎日を過ごしているのではないでしょうか。実は私もこの3月をもちまして、2年間つとめた育徳園保育所の園長を退任しました。そして4月からは、新たに「顧問」としてスタートをきりました。顧問と言っても、今までと同じように子どもたちと関わっていきます。今後もどうぞ宜しくお願いします。
さて高齢化社会が叫ばれ久しいのですが、日本だけではなく先進諸国では、どこも同じ傾向が見られます。今や日本では、人生100年などと言われるようになりました。100年ともなれば、誰にとっても健康長寿が望ましいのですが、そんな想いと相反することも少なくありません。中でも認知症は、今後増々増えるであろうことから、世界中で大きな社会問題となっています。特に最近注目を浴びているのが、50代くらい(時にはもっと早い)から発症する若年性認知症です。当然のことですが本人だけではなく、家族にも大きな影響を及ぼします。そんな中、昨年初めて認知症の原因に直接働きかける「レカネマブ」という新薬が承認されました。ただしその効果は、原因を根本から解消するのではなく、症状の進行を遅らせるという薬です。しかし今までにはなかったタイプの薬なので、今後の治療に大きな期待が持たれています。
ところで上記の「レカネマブ」は、症状の進行を「遅らせる」ことを目的としています。この「遅らせる」というのが、昨今の新たな治療方法になっているようです。例えば癌です。今まで癌の治療と言えば、摘出手術、抗がん剤、放射線治療など、癌を元から断つことを目的としていました。確かに時期や種類によって、それらは非常に有効です。しかし時に、そんな治療を潜り抜けた癌が、より手強くなる場合があります。癌も生き残ろうと必死です。その結果として、より強い癌が残ってしまうのです。そこで新たな治療方法が、提唱されるようになりました。それは癌を、進行の遅い癌(このタイプはあまり悪さをしません)へ導きながら、人と長期に渡って共存するのです。癌をかかえているけれど、普通に生活を送ろうというのです。これからの治療の有力な選択肢として考えられています。
我々人類は約600万年前から人間へと進化を始めました。600万年前と聞くと途方もなく長い時間のように思えます。しかしあの恐竜時代が、約1億6000万年間続いたことを考えれば、人類の進化などつかの間に過ぎません。さらに文明が生まれたのがほんの1万年前です。文明を持った我々は「明日できる事も今日する」というような生き方に、拍車をかけてきました。人間は早さと便利さを、ひたすら追い続けてきたのです。そこには「遅い」とか「ゆっくり」というような生き方はありませんでした。子どもたちの未来を考えれば、この一年「明日できる事は明日する」そんなことを、意識するのも良いかもしれません。ただし本当にそれが、実現出来るかどうかは分かりませんが・・・