『 ドーナツとゲーム 』 

 今年に入り海外からの観光客はうなぎ上り、その数はすでにコロナ以前を超えました。そんな観光客にとっても、日本の四季は魅力の一つのようです。とは言っても最近の気候を見るにつれ、近い将来日本には、猛暑の夏と厳寒の冬しか残らなくなりそうです。暑さの厳しくなる6月、熱中症にはくれぐれもお気をつけ下さい。 

 突然ですが皆さんは意志が強い方ですか、それとも弱い方ですか。私は自信をもって言えます。意志は弱いと。美味しそうなドーナツが目の前にあります。最近ズボンがきつい、高カロリーのものは避けなければ・・・しかし食べたい・・・よし今日までは食べても良いことにしよう、その代わり明日からは絶対食べない!そう固く誓ってドーナツに手を伸ばします。しかし結局次の日も、又次の日も、明日からの繰り返しです。明日は苦手教科のテストがある、だけど新作ゲームをしたい・・・勉強もしなくては・・・よしゲームを10分だけやろう、その方が頭もすっきりするし勉強もはかどる、ところがどうしたことか、気がつけば時計はすでに明日、こんな経験はありませんか。私はこんな事を繰り返し、反省を山のように積み上げながら今日まで過ごしてきました。そしてこれからも、反省の山は大きくなるでしょう。ドーナツやゲームは、これほどまでに魅力的なのです。何故私たちはだめだ、と分かっているのにやってしまうのでしょうか。 

 私たちは日々起きてから寝るまで、様々な決断を下しています。何を食べるか、誰と話すか、何して遊ぶか、どうやって問題を解決するか、明日するか、今日するか…等々。そしてその決定は、すべて自分の意志で行っていると思っています。ところが実際は本人が知らぬ間に自分の脳が、多くの判断を勝手にあるいは自動的に下しているのです。   

 人類は、途方もない年月をかけて進化してきました。それは、脳も進化したという事です。現在では人間の脳は、大きく二つに分かれています。古い脳と新しい脳です。古い脳は生理的欲求を担い、常に自己の遺伝子を拡散させようとしています。又、快楽や心地良さを求め、無意識の内に24時間働いているのです。一方新しい脳は新皮質とも呼ばれ、論理や科学技術を思考し知能を働かせています。この古い脳と新しい脳はしばしば衝突します。その衝突の結果が、分かっているけれど止められない時なのです。古い脳は新しい脳よりも圧倒的に強い、なぜなら古い脳は、人間が生き残るために進化してきたからです。例えば、高カロリーのものには目がなくなってしまいました。だから今でもドーナツを見れば、誘惑に負けてしまうのです。ゲームにしても同じです。古い脳はあらゆる機会をとらえては、私たちを快感や心地良さに誘います。それが気がつけば明日になる理由です。私たちは、ドーナツやゲームを前にすればかくも無力なのです。 

 新しい脳が知能を働かせ、やるべきでない、あるいは直ちに止めるべきだと考えた事であったとしても、圧倒的に強い古い脳にとり、自己の遺伝子が広がるなら、あるいは快楽を得られるなら、そんな不適切さ(性犯罪、人口増加、環境破壊、経済発展、スマホ依存、麻薬依存等)を、優先してしまいます。 

 「分かっているけれど止められない」ことで成立した現在の世界は、男性主導型の世界と言えます。現状を見る限りこのままの状態が続くのであれば、子どもたちの未来は、なはだ心もとないとしか言えないでしょう。これから先私たちは、どんな世界を目指せば良いのでしょうか。少なくとももう少し新しい脳が、反映される社会が望ましいと考えます。そしてその鍵が、女性にあるように思うのです。 

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