『 ノストラダムスの大予言 』 

令和7年8月

 猛暑の中、子育て中の保護者の皆さんはいかがお過ごしですか。子どもは休みでウキウキでしょうが、親は「早く学校始まれ!」と願う毎日だとお察しいたします。アメリカなどでは、夏休みが日本よりはるかに長い上宿題もないので(9月新年度開始の為)、親は子どもをサマーキャンプ(長期の林間学校みたいなもの)に行かせようと必死になるようです。 

 先月の7月5日に、日本で大災害が起こるというデマ(「私が見た未来」という漫画が元ネタ)が、日本中いや世界中に流れました。覚えている方も多いでしょう。これが原因で、海外旅行者の減った事でも話題になりました。実は大学生の孫もこのデマに踊らされ、我が家に避難?してきました。当日自分しか家にいないと言うのです。どうも若い世代(特に女性?)は、デマを信じ易いのでしょうか。しかし半世紀以上も前「ノストラダムスの大予言」が大流行し、1999年7月(これも7月)に、地球は滅びると世間を騒がせました。当時高校生の私は「それは絶対ないわ!」とか強がっていましたが、内心いささか不安だったことを覚えています。スマホこそ有りませんでしたが、本や雑誌、新聞、テレビなどを通して若い世代が敏感に反応していました。今回は世界中を網羅するネットにより、海外でも大ごとになったようです。古今東西問わず人間は、デマに踊らされ易いのです。 

 何故人間はデマを信じやすいのでしょうか。その原因の一つが、人間の「多数に従う」という本能だと考えられます。文明や文化を獲得する以前、人は弱小動物としてエサとなる側でした。そこで単独ではなく多数で行動する事で、生き残りを図りました。その行動が進化を経て、科学の進んだ現代でもやすやすデマを信じさせるのです。しかしこの策は比較的最近までは、それなりに機能していました。ところがAIが猛烈に発達した今、多数に従うことが反対に、身の危険を招く結果となりました。それは人間の社会があまりに複雑になり過ぎ、何が安全で何が危険なのか、その判断を誰も的確に出来なくなったからです。 

 チャットGPTに代表されるAI、今やこれ無しの世界は考えられません。早くて有能お世話になっている人は多いでしょう。個人的には全く疎いのですが、例えばチャットGPTは間違いなく人間の生活を便利にする一方、意図的ではないにしろ巡り巡って個人情報も使われています。ある友人がフト気になり自分の事を、どれだけチャットGPTが知っているか尋ねました。すると「えっ、そんな事まで知っているのか」と仰天したそうです。あわてて自分の個人情報を消去した後は、何度聞いても知らないという返事が返ってきました。保護者の皆さんならこれも常識で、対策もされているのでしょうが、私などはどうやってAIとつき合うべきか悩んでしまいます。正に矛と盾の時代だと思わずにいられません。 

 AIが日常生活に定着した今、子育ては過去一番大変な時代を迎えたのかもしれません。現状を見れば、これからの子育ては人の手を離れ、AIが取って代わる可能性もあります。いずれにせよその選択は、今生きる者の手に委ねられていると思います。私たちは子どもたちに、どんな未来を届けるのでしょうか。暑さが一層増すような話ですが、お母さんお父さん、これから先も続く猛暑の夏、クールに乗り切ってほしいと願っています。 

                                 早川友教 

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