-小学生の名前の呼び方について-
梅雨の季節、いかがお過ごしでしょうか。大人は何かと憂鬱になりがちですが、子どもはお気に入りのかさをさし長靴をはきたくて、雨ふれーと心待ちにしています。中には晴れていても長靴をはき、かさを持ってくる子もいます。そんな経験ありませんか。
今から半世紀以上も前、小学校5~6年生頃の話です。大阪の住吉区にある住吉小学校に通っていました。全校生徒が約2000名という、当時の大阪でもトップクラスのマンモス校でした。各学年8クラス、1クラス40名以上という過密ぶりです。昼の休憩時間の校庭ともなれば、朝の通勤ラッシュ状態でした。
その頃、高学年の男子なら、あだ名もしくは苗字でお互いを呼びあっていました。そんなある日、担任の先生がみんなを前に、こんな話を始めたのです。「あだ名で呼ばれるのが嫌な子はいるか」、すると一人の男の子が手を挙げたのです。その子のことを男子は、いつも「ブーちゃん」と呼んでいました。ご多分にもれず少々太目だったからです。彼は、そのあだ名が嫌だと言いました。今から思えば納得できますが、その時は「えっ」と驚きました。何故ならクラスの男子はその呼び方になれ過ぎ、普通にそう呼んでいたからです。だから彼が嫌だったなん思いもよりませんでした。その後話し合いがあり、いろいろな意見が出ました。自分は「それは悪口なんかではなくて親しみだ、だからブーちゃんと呼んでいる。」というような意見に与しました。今から思えば傲慢な言い分です。現在ならイジメにもなる話でしょう。彼にとっては、おそらく先生と相談した上での当日だったと思います。今思えば、自分が受けてきて嫌な事を、みんなの前で発言するなんて、考えただけでも大変な事だったと思います。きっと勇気がいったことでしょう。ただその後の彼を、どう呼んだかは定かではありません。多分苗字で呼んだのでしょう。覚えていないのは、自分にとり苦い経験だったので、早く忘れてしまいたかったからだと思います。
この出来事を改めて考えると、他者に対する共感に欠け、物ごとの捉え方が一面的に過ぎました。それが、知らず知らずにクラスメートを苦しめていたのです。確かに時代の背景はあったでしょうし、小学生には少々難しい話だったかもしれません。しかし人の名一つ呼ぶにしても、今も昔も十分な配慮が必要なのです。
聞けば最近の小学校では、先生が児童の名前を呼ぶにあたって、男女問わず一律「さん」付けで呼ぶことが増えているそうです。これには昨今のLGBT+(性的少数者)やいじめへの配慮が、大きな理由だと思います。この一律「さん」呼びには、いろいろな意見があると思います。賛成意見も多いようですが、個人的には反対です。何故か、理由は簡単です。なぜ、みんな同じ呼ばれ方を、されなければならないのかという事です。「さん」付けで呼ぶ意義は、それなりに理解できるし、決して否定するものではありません。しかし小学生ともなれば、自分が呼ばれたい名前は、自分で決めればよいのではないでしょうか。~さんで呼んでほしい子には、そうすべきです。しかし別の名前で呼んでほしいなら、その名で呼ぶべきでしょう(学校内での呼び方に相応しいかどうかは、十分検討すべきですが)。それが個人を尊重するという事だと思います。もしそれが無理だと言うなら、学校教育とは何かを問題にすべきでしょう。皆さんは、どう思われますか。