『 最近のお母さんは、どう? 』

むしむしする日が続いています。この身の回りの湿気は、10日前までは海の水でした。気象や海流によって地球の水は、ダイナミックに循環しているのです。

7月になり気温は急上昇ですが、子育ての悩みも、ヒートアップする事があります。かわいい我が子も、小学生ともなれば自己主張はするし、親に反抗だってします。勉強も頭の痛い問題ですが、それ以上に友だち関係、特にいじめ等も心配ではないでしょうか。

ところで小学校に入ると、しばしばいじめの話を聞くようになります。そんな時によく言われるのが、いじめなのかふざけているのか、判断が難しいという事です。しかしそれは、役割交代の有無で見分けられます。やったりやられたりの交代が有れば、ふざけているだけですし、それが無ければいじめだと判断できます。ところが近年増加しているのが、知らない間にSNSで悪意を拡散するような、外から分かりにくいいじめです。

人間は他の動物と違って、本能だけでは生きられません。何故なら本能が壊れているからです。本能とは、生きようとするエネルギーと、どうやって生きれば良いかの指針となる、行動規範によって成り立っています。人間にはエネルギーはありますが、行動規範が壊れているのです。そこで行動規範の代わりに学習能力を獲得しました。学びによって生き方を再構築し、生き残りを図ったのです。学習能力は他の動物とは比べられない、人間の優れた特性のように言われますが、実は代用品に過ぎません。だから矛盾も多く、私たちは教えられた事だけを学ぶのではなく、教えられない事でも勝手に学んでしまいます。それがいじめの一つの原因になるのです。いじめは強者が、かりそめの自己満足を得る為に、弱者を自分の思い通りにする行為と言えるでしょう。実はこの関係性が、私たち人類の育ちに由来すると考えられるのです。

通常本能だけでは生きられない人間は、生まれて後、長期に渡り親によって養育されます。言い方を変えれば、親の保護がなければ生きられません。この状態の意味する所は、親は子どもに対して圧倒的に強い立場にあるということです。だから子どもは不本意であっても、親を否応なしに受け入れるしかありません。つまりこのような育ちから、子どもは教えられなくても弱者は強者に従うものだ、と体験的に学んでしまうのです。これがいじめの起源と考えられます。そして世界中の老若男女に、いじめが見られる理由です。

しかしながら誰もが皆、いじめる訳ではありません。いじめない子もいます。その原因の一つとして考えられるのが親子関係です。いじめる子は成長過程で、いじめを強く感じる状態があったと思われます。例えば、一概には言えませんが、親が有無を言わせず我が子を自分の型にはめ込んで育て、それは子どもの為だと、すり替えているような場合です。子どもはそんな親から逃避したいのですが、それは出来ません。何故なら、弱者だからです。そして時にはその反動と隠蔽のために、自分よりも弱い者をいじめるのです。しかしながらそれは、単なる一時しのぎであり、根本は何も解決していません。だから繰り返すのです。そんな悪循環を断つのは、簡単な事ではありません。しかし解決を目指すのなら、強者が弱者に歩み寄る事が大切だと思います。まずは親が、自分の立場を自覚的、意識的にとらえる事でしょう。具体的には、弱者である子どもの想いを、少しでも汲もうとすることです。

そこで、時々子どもに尋ねてみて下さい。「最近のお母さんは、どう?」と・・・

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