『 芸能人は歯が命 』 

 気がつけば今年も12月です。「あっという間の1年でした」この一言を実感して以来、すでに40年近くが経ちました。そして増々その間隔は短くなっています。 

 少し前のことです。大学生の孫と、歯のホワイトニングの話をしていました。その時私は、当然孫も知っていると思って「芸能人は歯が命!」と言ったのです。ところが「何を訳のわからんこと言ってるん」と、白い目で見られてしまいました。皆さんはこのフレーズ知りませんか。ちょっと前に、歯磨きのCMでよく見ていたのですが。ただよくよく調べてみると、このCM確かに放送していましたが、ちょっと前どころか何ともう20年以上も前の話でした。孫が白い目で見てきたのも無理ありません。 

 最近日本は少子化の進行と相まって、高齢者比率が高まり・・・という記事やニュースをよく見聞きします。そのたびに人ごとの様に「ほんまにそう、年寄り多いもんなぁ」とぼやくのですが、その瞬間我に返り、自分もその一員であることにがく然とするのです。自分も口では歳とか言いつつも、高齢者と認めたくないのでしょう。ちなみに現在65歳以上人口は全人口の3割弱だそうですが、政府はあまりの増加ぶりに今後は、75歳以上の人を高齢者と呼ぶような事を言っております。年金の先行きが不安なので、75歳までは現役で働けという事なのでしょうか。確かに栄養事情も良く医療は充実、平和な社会ですし生活レベルは世界でもトップクラスの日本です。となれば寿命も延び、高齢者が増えるのも当たり前です。今や人生は100年と言われています。 

 近頃昔話をする度に、思わず天を仰ぐことが増えています。話題が学生時代の事になり当時を振り返ってみれば、ななんと高校までなら半世紀以上も前の話ではありませんか。もはや歴史上の出来事、と言っても過言ではありません。当然ながら同級生は全員アラ古希のじいさま、ばあさまばかりさすがに戦争は体験していませんが、現役子育て世代の皆さんから見れば、戦争体験世代も一緒という感覚でしょう。「そうではないのです!」と声を大にして言いたいのですが、10年前からはプロのおっちゃん、20年前なら紛れもないおっちゃん、30年前なら普通におっちゃんと呼べる私です。ふり返ればおっちゃん歴は長いのです。子育て世代の皆さんが、一緒に感じるのも仕方ありません。そもそも自分自身が学生の頃、30代と聞けば「あーおっちゃん!」と思ったものです。 

 保護者の皆さんなら10年前と言えば、記憶もあやふやな前の話、というような感覚かもしれません。ところが我々世代の10、20年前くらいなら、ついこのあいだの話なのです。だから孫とかみ合わない会話にもなります。それでも何とか今のところは、時間や場所の観念は保っているようですが、そのうちどこかに置き忘れてくるのでしょう。 

 今年一年どのように過ごされましたか。良い事もあれば、辛い事もあったかもしれません。しかし改めて考えてみれば、それは世の常でもあります。ただそれを一人で受けとめるのか、それとも支え合いながら受けとめるかでは、人生は又違ってくるように思います。 

 それでは少し早いのですが、良いお年をお迎えください。 

タイトルとURLをコピーしました